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小学生の読解力を家庭で伸ばす方法 ― 読み聞かせから対話読みへ

2026年9月15日 更新📖 約9分で読めます

「読解力がない」をひとまとめにすると手が当たりません。①読むだけで手いっぱい ②指示語で誰の話か見失う ③答えを本文に探しに戻らない、の3つを教科書1ページ・30秒で切り分け、それぞれ別の手当てを当てます。対話読みは③まで通った子にいちばん効きます。

「文章を読むのが苦手で、読解問題でいつも点を落とす」。このとき家庭でまず出てくるのが「本を読ませないと」「もっと対話読みを」ですが、読ませる量を増やしても動かない子がいます。理由は単純で、「読解力がない」と呼んでいる状態が、中身の違う3つを1つの名前でまとめてしまっているからです。文字を音にするだけで手いっぱいな子と、読めてはいるが「それ」が何を指すか見失う子と、本文に書いてあるのに記憶で答えてしまう子とでは、当てる手がまったく別になります。ここを切り分けずに本を増やすと、できている段階の練習に時間が吸われ、詰まっている段階には手が入りません。

「読解力がない」の中身は、3つに分かれる

読解問題で点が落ちるとき、止まっている場所はたいてい次のどれかです。

このうち③は「気持ちが分からない子」と誤解されやすい場所です。実際には気持ちが想像できないのではなく、本文に「うつむいた」「返事をしなかった」と書いてあるのを見に戻っていないだけ、ということがよくあります。

教科書1ページ、30秒でできる切り分け

いま学校でやっている物語文のページを開き、次の3つを順に頼みます。答え合わせはしません。どこでいちばん早く止まるかを見るだけです。

  1. 1段落だけ声に出して読ませる…つっかえる・読み飛ばす・行を見失うなら①。
  2. 本文の指示語を1つ指して「これ、何のこと?」と聞く…①は通ったのに答えられなければ②。
  3. 「この子、このときどんな気持ちだと思う?」と聞き、続けて「そう思ったのは、どこに書いてある?」と聞く…気持ちは答えられるのに本文を指させないなら③。

いちばん早く止まったところが、いま手を入れる場所です。3つ全部を同時にやろうとしないでください。

①読むだけで手いっぱい ── 意味に使う余力を空ける

人が文章を読むとき、文字を音に変える作業と、意味をたどる作業が同時に走ります。前者が自動化されていない子は、そこで力を使い切り、後者に回す分が残りません。これは読解の問題ではなく、その手前の問題なので、読解の練習を足しても伸びません。

家庭での手当ては、同じ文章を、日をおかずに2〜3回読ませることです。新しい文章を毎日1本ずつ読むより、1本を月・火・水と読むほうが効きます。2回目からつっかえが減り、そこで初めて意味に余力が回ります。3回目に「どんな話だった?」と聞くと、1回目には出てこなかった中身が出てきます。

あわせて、読む前に親が題と挿絵だけ先に見せて「何の話だと思う?」と10秒聞くのも有効です。話の枠を先に持っていると、文字を追う負担が下がります。長い文章を最後まで読ませることより、この段階では短くても最後まで意味が残ることを優先します。

②指示語とつなぎ言葉で見失う ── 「これ何?」を口ぐせにする

日本語の文章は、同じ語をくり返さずに「それ」「そこ」「この人」で受け直します。大人は無意識に前へ戻って受け先を拾っていますが、子どもはその戻る動きを持っていません。結果、一文ずつは全部読めるのに、話が別ものになっていくということが起こります。

手当ては、読んでいる途中で指示語を指して「これ、何のこと?」と聞き、本文の前のほうを指ささせることです。言葉で答えさせるのではなく、指で戻らせるのが要点です。戻る動きそのものを体に入れるのが目的なので、1ページに1回で足ります。

つなぎ言葉は、向きが変わるものだけ先に押さえます。「しかし」「ところが」「でも」が出てきたら、そこで一度止めて「前と反対のことが来るよ」と声をかける。「だから」は前と同じ向き、「しかし」は逆向き——この2種類の区別がつくだけで、説明文の読み違いがかなり減ります。全部の接続語を教える必要はありません。

③本文に戻らない ── 「どこに書いてある?」を必ず足す

読解問題は、感想を聞いているのではなく本文に書いてあることを根拠に答えを作る作業です。ところが家庭での会話は感想中心になりやすいので、子どもは「思ったことを言えばいい」と覚えてしまいます。テストで点が落ちるのはここです。

手当ては1つだけ、子どもが答えたあとに「どこに書いてある?」を足すことです。答えが合っていても足します。指させたら、それで終わりにします。正解・不正解を告げる必要はありません。「答えは本文の中にある」という前提が身につくことが目的だからです。

気持ちを問う問題も同じで、「うれしい」と答えたら「どこでそう思った?」と聞き、「走って行った」「にっこりした」といった行動の書かれた一文を指させます。気持ちは本文に直接は書かれておらず、行動や様子から取り出すものだと分かると、「気持ちの問題が苦手」は薄れていきます。

読み聞かせから対話読みへ ── 順番を間違えない

ここまでの①②③が通ってきたら、いよいよ対話読み——読みながら、あるいは読んだあとに、親子で軽くおしゃべりする読み方——の出番です。対話読みは、③まで通った子にいちばん効きます。逆に、①で止まっている子に「主人公の気持ちは?」と聞いても、答えようがありません。対話読みは土台ではなく、土台の上に乗せるものです。

読みながら止めて、予想させる

「このあと、どうなると思う?」と、ときどき止めて問いかけます。予想させると、子どもは先を考えながら読むようになります。当たり外れは気にしません。外れたときに「どこで違った?」と本文に戻れれば、それがそのまま③の練習になります。

読んだあとに、感想を交換する

「どこが一番おもしろかった?」と聞き、親も「ここが好きだったな」と自分の感想を返します。正解を求めず、言い合うのがポイントです。子どもが読んだ本を親が「それ、どんな話?教えて」と聞くのも効果的で、あらすじを人に話すことは要点をまとめる練習そのものです。

「どうして?」を一つだけ足す

子どもの答えに「へえ、どうしてそう思ったの?」と一つ足すだけで、考えが一段深まります。ただし足すのは一つまで。二つ三つと重ねると、会話が口頭試問になります。

やってはいけない関わり方4つ

学年べつの目安と、相談の一線

なお、2〜3か月続けても音読のつっかえがまったく減らない、行を何度も飛ばす、読むときだけ極端に嫌がる——このような場合は、練習量で押し切らず、担任の先生に様子を伝えてください。見え方や読みの特性が関わっていることがあり、その場合は家庭での量を増やすほど本人がつらくなります。

よくある質問

Q. 本を読むのが嫌いで、そもそも読んでくれません。
A. まず①を疑ってください。読むこと自体が重労働だと、嫌いになるのが自然です。文字の少ない本・図鑑・漫画から始めてかまいません。目的はこの段階では「意味をたどる余力が残る経験」で、本の格ではありません。

Q. 音読はスラスラなのに、読解テストの点が低いです。
A. ①は通っているので、②か③です。テストの答案を見て、本文にない言葉で答えているなら③、話の前後が入れ替わっているなら②が濃厚です。

Q. 「どこに書いてある?」と聞くと嫌がります。
A. 答え合わせの雰囲気になっている可能性があります。正解・不正解を告げず、指させたら「ほんとだ」で終える形に変えてみてください。聞くのも1回の読書で1回までにします。

Q. 読み聞かせはいつまで続けていいですか。
A. 上限はありません。自分で読めるようになっても、聞いて理解できる文章のレベルは自分で読めるレベルより先を行くので、読み聞かせは②の力を先に育てておく役に立ちます。自分で読む時間と両立させてかまいません。

まとめ

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同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。

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