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「ふりこの運動」でつまずく子への、家庭でできる教え方 ― 速さを決めているのは、おもりでもふれはばでもなく糸の長さ

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5年理科の「ふりこの運動」は、答えだけ見れば「1往復の時間は糸の長さだけで決まる」の一行です。それでも多くの子が「重いほうが速い」と答えます。重さとふれはばが効かない理由の伝え方、10往復をはかって10でわるやり方、そしてこの単元の本当のねらいである「変える条件は1つだけ」までまとめました。

「重いおもりのほうが、速くふれる」と答えてしまう

5年の「ふりこの運動」は、結論だけ書くと一行で終わります。ふりこが1往復する時間は、糸の長さだけで決まる。おもりの重さを変えても、ふれはば(ふる角度)を変えても、1往復の時間は変わりません。

ところが、授業で実験をしたあとでも、テストで「おもりを重くすると1往復の時間はどうなりますか」と聞かれて「短くなる」と書いてしまう子がとても多い単元です。これは覚え忘れではありません。日ごろの感覚が、そう答えさせています。重い物を落とすと速そうに見える、強くふったほうが勢いよく動いて見える ― そちらのほうが体験として強いので、実験の結果より先に出てきてしまいます。

だから家庭でやることは、答えを覚え直させることではなく、「何が速そうに見えたのか」と「1往復の時間」は別物だと分けてやることです。ここが分かれると、この単元は一気に軽くなります。

「速い」と「1往復の時間」を、まず分ける

ふれはばを大きくしたふりこは、たしかに速く動いて見えます。実際、いちばん下を通るときの速さは大きくなっています。子どもの目は正しいのです。

けれど、ふれはばを大きくすると通る道のりも同じだけ長くなります。速くなった分だけ長い道を通るので、行って帰ってくるまでの時間は変わりません。ここを次の一言で渡すと、多くの子が止まります。

「速くなったんじゃなくて、遠回りして速くなっただけ。だから帰ってくる時間は同じ」

重さも同じ考え方で片づきます。重いおもりは動かしにくいぶん、引っぱる力も同じだけ強くなっています。強く引かれるけれど、そのぶん重くて動きにくいので、結局おたがいに打ち消し合います。小学生に力学の式を出す必要はありません。「重いと、引っぱる力も強くなるけど、動かしにくさも同じだけ増えるから、引き分けになる」で十分に通ります。

残るのは糸の長さだけです。糸が長いふりこは、同じ角度でも通る道のりがずっと長くなります。こちらは道のりだけが長くなって、打ち消してくれる相手がいないので、まるごと時間に効きます。だから「長いふりこはゆっくり、短いふりこはせわしない」となります。

家でのはかり方 ― 1往復をはからせない

家で確かめるのは簡単です。たこ糸とナット(または消しゴム)とスマホのストップウォッチがあれば足ります。ドアの取っ手やカーテンレール、物干しざおなど、糸をぶら下げられる場所ならどこでもかまいません。

ただし1つだけ、必ず守らせたいやり方があります。

1往復をはからず、10往復をはかって、10でわる。

1往復は1〜2秒しかないので、ストップウォッチを押すタイミングのズレがそのまま結果を壊します。0.2秒ずれただけで、まったくちがう結論になってしまいます。10往復まとめてはかれば、同じ0.2秒のズレも10でわられて0.02秒になります。はかる回数を増やすのではなく、1回で長くはかるのがコツです。学校でもこの手順でやりますが、なぜそうするのかは説明されないまま終わりがちなので、家で一言そえるだけで「なるほど」になります。

そのうえで、次の3つを順にやってみせます。

③で糸を4倍にすると、1往復の時間はだいたい2倍になります。「4倍にしたのに2倍」というのは小学校では扱いませんが、実際にそうなるので、子どもが「あれ、4倍じゃないの?」と言ったら、それはちゃんと見ている証拠です。「長さを4倍にすると時間は2倍。中学や高校でその理由をやるよ」で返しておけば十分です。

この単元の本当のねらいは「変える条件は1つだけ」

ふりこは、結論そのものより確かめ方を学ぶために置かれている単元です。5年理科では「条件を制御する」と呼ばれ、6年の実験や中学以降の理科、さらに自由研究のまとめ方まで、ここでの考え方がそのまま使われます。

ルールは1つです。調べたいものを1つだけ変えて、ほかは全部そろえる。

テストで点を落とすのは、たいていここです。たとえば「おもりを重くしながら、糸も長くした実験」の表を見せられて、「この実験で、重さが時間に関係あるか分かりますか」と聞かれる。答えは「分からない」です。時間が変わったとしても、重さのせいなのか糸のせいなのか、区別できないからです。

この「分からない」が書けない子は多いのですが、家では実験の器具がなくても練習できます。生活の場面でそのまま作れるからです。

どれも答えは「分からない」です。この「分からない、と答えるのが正解の問い」に慣れておくと、ふりこの表を見たときに同じ形が見えるようになります。理科で「どちらのせいか分からない実験」を見抜けることは、そのまま広告や口コミを読むときの力にもなります。

つまずきやすい4つのポイント

ふりこが分かると、身のまわりが1つつながる

糸の長さだけで時間が決まるという性質は、正確にくり返したい道具にそのまま使われています。ふりこ時計は、ぜんまいがゆるんでも、ふりこの長さが同じである限り同じリズムをきざみます。時計が少し進む・遅れるときに調整するのは、おもりの重さではなくふりこの長さです。

反対に、ブランコは座っている人の体重が変わっても1往復の時間は変わりません。立ちこぎで速くなったように感じるのは、体を上下させてふりこの長さを短くしているからです。公園で「立つと、ひざの分だけ短いふりこになるんだよ」と言えると、その日のうちに体で分かります。メトロノームのおもりを上げ下げしてテンポを変えるのも、まったく同じしくみです。

単元の結論を覚えさせるより、この3つのうち1つを実際に見せるほうが、記憶としてははるかに長持ちします。

まとめ

ふりこで「重いほうが速い」と答えてしまうのは、覚え忘れではなく、目に見える速さと1往復の時間を同じものだと思っているからです。ふれはばを大きくすると速くなるが、そのぶん遠回りになるので時間は同じ、重くすると引っぱる力も強くなるが、そのぶん動かしにくいので引き分け、長さだけは打ち消す相手がいないので、まるごと時間に効く ― この3本で説明がつきます。家で確かめるときは1往復をはからず10往復を10でわり、変えるのは1回につき1か所だけ。おもりを増やすときは下に足さず同じ場所に重ねます。そして、この単元の本当のねらいは結論ではなく「変える条件は1つだけ、あとはそろえる」という確かめ方のほうです。ここが入ると、6年の実験も自由研究も、ぐっと書きやすくなります。

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同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。

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