「水よう液の性質」でつまずく子への、家庭でできる教え方 ― リトマス紙は4つ覚えず、「変わった先の色」1本にする
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6年理科の「水よう液の性質」は、リトマス紙の赤青をどちらも覚えようとして混ざります。覚えることを1本に減らす言いかえ、蒸発させて何も残らない水よう液の理由、金属がとけたあとは別のものになっているところまで、家庭でできる確かめ方つきでまとめました。
見た目では、何ひとつ分からない単元
6年の「水よう液の性質」は、理科の中でもとくに「わかったつもり」が残りやすい単元です。理由ははっきりしていて、出てくる水よう液が、ほとんど全部とうめいで色がないからです。
食塩水、さとう水、石灰水、うすい塩酸、アンモニア水、炭酸水 ― ならべても、見た目ではどれがどれだか分かりません。なのに子どもは、それまでの理科と同じ「よく見る」でなんとかしようとします。見ても分からないので、なんとなく答えて、なんとなく合ったり外れたりします。
だから家で最初に渡すのは、薬品の名前でも実験の手順でもなく、この一言です。
見て分からないものは、調べるしかない。だからこの単元は「調べ方」を覚える単元だ。
ここが通ると、リトマス紙も、蒸発皿も、石灰水も、ばらばらの知識ではなく「見えないものを見えるようにする道具」として一列にならびます。覚える量は変わりませんが、覚える理由ができます。
リトマス紙は、4つ覚えるから混ざる
いちばん点を落とすのがリトマス紙です。多くの家庭では、教科書のとおりにこう教えます。
- 酸性 … 青いリトマス紙が赤くなる
- アルカリ性 … 赤いリトマス紙が青くなる
- 中性 … どちらも変わらない
正しいのですが、子どもの頭の中では「赤」「青」「酸性」「アルカリ性」の4語がぐるぐる回って、試験のときに逆になります。「青いリトマス紙だからアルカリ性」と、紙のもとの色をそのまま答えにしてしまうのがいちばん多い誤答です。
覚える数を減らします。紙がもとは何色だったかは、いっさい見ません。
赤くなったら酸性。青くなったらアルカリ性。どちらも変わらなければ中性。
これだけです。変わった先の色だけで決まります。酸性のときに変化するのは青い紙のほうですが、その紙は「赤く」なります。アルカリ性のときに変化するのは赤い紙ですが、その紙は「青く」なります。つまりどちらの場合も、答えは変化後の色と同じなので、紙の名前を覚える必要がありません。「さんせいはあか」と言えるようにしておけば、残りは自動で決まります。
この言いかえは、ほかの指示薬にもそのまま効きます。BTBよう液は酸性で黄色、中性で緑、アルカリ性で青。むらさきキャベツ液は酸性で赤~ピンク、中性でむらさき、アルカリ性で緑~黄色。どれも酸性のほうが暖色(赤・黄)、アルカリ性のほうが寒色(青・緑)という同じならびです。「酸っぱいほうが赤」と体で覚えておくと、初めて見る指示薬でも見当がつきます。
どれがどの性質か ― 覚えるのは3つの箱
出てくる水よう液は、3つの箱に入れてしまえば終わりです。
- 酸性:うすい塩酸、炭酸水、す(酢)、レモンのしる、ホウ酸水
- 中性:食塩水、さとう水、水
- アルカリ性:石灰水、アンモニア水、水酸化ナトリウムの水よう液、重そう水
丸暗記にしないためのとっかかりが2つあります。ひとつは酸性は「すっぱい」仲間だということ。す、レモン、炭酸水 ― 台所にあるものが、そのまま酸性の代表です。もうひとつは中性はほぼ「食べられるものを水にとかしただけ」だということ。食塩水とさとう水は、なめれば味が変わりますが、性質としては水と同じ側です。
アルカリ性は生活の中では手がかりが少ないのですが、重そう(ふくらし粉)と石けん水が身近な例です。「ぬるっとする」のがアルカリ性の感じだと知っておくと、名前を思い出せなくても2つに絞れます。
蒸発させると、残るものと残らないものがある
もうひとつのヤマが、蒸発皿で水を蒸発させる実験です。ここは「何が残ったか」を暗記しようとすると必ず落とします。分かれ目は1つだけです。
とけているものが固体なら残る。気体なら何も残らない。
- 食塩水 → 白い固体(食塩)が残る。とけていたのが固体だから。
- 石灰水 → 白い固体が残る。同じく固体がとけている。
- 炭酸水 → 何も残らない。とけているのは二酸化炭素という気体だから、水といっしょに出ていってしまう。
- うすい塩酸 → 何も残らない。とけているのは塩化水素という気体。
- アンモニア水 → 何も残らない。とけているのはアンモニアという気体。
「何も残らない水よう液はどれですか」と聞かれたら、気体がとけている3つ(炭酸水・塩酸・アンモニア水)を答える、と決めておけば迷いません。逆から聞かれることもあります ―「蒸発させたら何も残らなかった。この液にとけていたものは何ですか」。答えは「気体」です。物質名まで書かせる問題でなければ、この2文字で点になります。
この3つには、においという共通点もあります。塩酸とアンモニア水は、つんとしたにおいがします(炭酸水はほとんどしません)。においは、顔を近づけずに手であおいでかぐ ― 手順を聞かれる問題でよく出るので、言い方ごと覚えておきます。
金属がとけたあとは、もう元の金属ではない
6年でいちばん差がつくのが、ここです。
うすい塩酸にアルミニウムを入れると、あわを出しながらとけて、見えなくなります。ここで子どもは「食塩水と同じで、水を蒸発させればアルミニウムが出てくる」と考えます。ところが実際に蒸発させると、出てくるのは白い粉です。これが元のアルミニウムかどうかを確かめると、
- 金属のような光(つや)がない
- 電気を通さない
- もう一度うすい塩酸に入れても、あわが出ずにとける
となり、元のアルミニウムとは別のものだと分かります。つまり、食塩が水にとけたときのような「ただ見えなくなっただけ」ではなく、金属が別のものに変わってしまったのです。
この違いを、家では次の言い方で置きます。
食塩は「かくれただけ」。金属は「別のものになった」。
だから食塩水は蒸発させれば食塩にもどるのに、金属をとかした液は蒸発させてももどりません。5年で習った「物のとけ方(とけても重さは変わらない・蒸発させればとり出せる)」とわざとちがう結果になるのがこの実験の意味で、そこに気づかせるのが家庭でやる価値のあるところです。
ついでに、金属によってとけ方がちがうことも押さえておくと強いです。アルミニウムは、うすい塩酸にも、水酸化ナトリウムの水よう液にもとけます(酸性にもアルカリ性にもとける)。いっぽう鉄は塩酸にはとけますが、水酸化ナトリウムの水よう液にはとけません。「アルミは両方、鉄は酸性だけ」と2つ覚えておけば、表の問題はだいたい埋まります。
石灰水と炭酸水は、たがいの答えになっている
ばらばらに覚えがちな2つですが、じつは組にすると1つの話です。
石灰水に二酸化炭素を通すと、白くにごる。これは6年の「ものの燃え方」でも使う、二酸化炭素を見つけるための道具でした。そして炭酸水にとけているのは二酸化炭素です。だから、炭酸水を石灰水に入れると白くにごります。
「炭酸水にとけているものを確かめる方法を書きなさい」と聞かれたら、答えは「石灰水に入れる(あわを集めて石灰水に通す)。白くにごれば二酸化炭素」です。手順と結果をセットで書くのが記述のきまりで、結果を書き忘れると点になりません。
もうひとつ、炭酸水はあたためるとあわが出ます。気体は水の温度が高いほどとけにくいからで、これは5年の「物のとけ方」で習った固体とは逆のふるまいです(食塩やミョウバンは、あたためたほうがとけます)。ここも、前の学年とつなげると印象に残ります。
つまずきやすい4つのポイント
- 1. リトマス紙のもとの色を、そのまま答えにする:「青いリトマス紙を使ったからアルカリ性」は誤りです。使った紙の色ではなく、変わった先の色で決まります。赤くなったら酸性・青くなったらアルカリ性の1本に固定します。
- 2. 「変化しなかった」を中性と決めつける:中性は赤い紙も青い紙も両方変わらないときです。片方の紙しか使っていないのに「変わらなかったから中性」と書くと外します。中性と言うには2枚いると覚えます。
- 3. 蒸発させれば全部もどると思っている:もどるのは固体がとけていたときだけです。気体がとけている炭酸水・塩酸・アンモニア水は何も残りません。金属をとかした液は、残っても別のものです。
- 4. 実験の安全の書き方を落とす:においは手であおいでかぐ、液は目の高さより下であつかう、蒸発皿は最後まで熱し切らず、残りが少なくなったら火を消して余熱で乾かす(とびはねを防ぐため)。手順を問う問題で毎回出ます。
家でできる確かめ方 ― むらさきキャベツ液の5分
塩酸や水酸化ナトリウムは家では絶対に使いません。学校で先生の指示のもとにあつかう薬品です。家でやるのは、指示薬のしくみを体で分かるところまでで十分で、それだけでリトマス紙の問題は安定します。
- むらさきキャベツ液を作る:むらさきキャベツを2~3枚こまかくちぎり、熱いお湯につけて10分ほどおくと、むらさき色の液ができます(切って冷凍してから解凍すると、色が出やすくなります)。とうめいなコップに小分けします。
- 台所のものを1てきずつ入れる:す・レモンのしるを入れると赤~ピンクに、重そうの水・石けん水を入れると緑~黄色に変わります。食塩水はほとんど変わりません。
- 色を見てから、名前を言わせる:「赤くなったから?」→「酸性」、「緑になったから?」→「アルカリ性」。色→性質の向きで3回くり返すだけで、リトマス紙の問題と同じ頭の使い方になります。
- 炭酸水を1本あける:ふたを開けた直後と、しばらく置いたあとであわの出方をくらべる。あたためるとさらに出ます。「とけていたのは気体だ」が目で見えます。
- ならべて当てさせる:水・食塩水・すを見た目だけで当てさせてから、液を入れて答え合わせ。見ても分からない/調べれば分かるという、この単元の芯がそのまま体験になります。
声かけは「これ何性?」ではなく「何色になった? だから?」にします。性質の名前を先に聞くと当てずっぽうになりますが、色を先に言わせると、答えは色から自動的に決まるからです。
まとめ
水よう液でつまずくのは、覚えが足りないからではなく、見ても分からないものを見て答えようとしているからです。リトマス紙は赤青を両方覚えず、赤くなったら酸性・青くなったらアルカリ性・どちらも変わらなければ中性の1本に減らします(中性と言うには紙が2枚いります)。蒸発させて何も残らないのは気体がとけている炭酸水・塩酸・アンモニア水の3つだけ。金属を塩酸にとかしたあとに残る白い粉は、つやがなく・電気を通さず・もう一度塩酸に入れてもあわが出ないので、元の金属とは別のものです。そして炭酸水と石灰水は、二酸化炭素でつながった1組です。むらさきキャベツ液と炭酸水1本あれば、このうち半分は台所で確かめられます。
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同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。
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