もののあたたまり方とものの燃え方でつまずく子への、家庭でできる教え方 ― 「あたためられた空気は上へ動く」だけで両方つながる
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4年の「もののあたたまり方」と6年の「ものの燃え方」は、教科書では2年もはなれた別の単元ですが、しんは同じ1つです。あたためられた空気や水は、同じかさで見ると軽くなるので上へ動く ― これが分かると、金属と水と空気のちがい、エアコンの風の向き、ふたをしたびんの中でろうそくが消える理由、上下に穴をあけると燃えつづける理由が、全部つながって説明できます。火を使わない家庭での確かめ方までまとめました。
2年はなれた2つの単元は、じつは同じ話をしている
4年生で「もののあたたまり方」を習い、6年生で「ものの燃え方」を習います。教科書のあいだは2年あき、子どもは完全に別の単元として受け取ります。だから6年になると、4年でやったことを一切使わずに、また一から覚え直そうとします。
ところがこの2つは、たった1つの事実でつながっています。
「あたためられた空気は、同じかさで見ると軽くなるので、上へ動く。そのあとに、まわりの冷たい空気が入ってくる。」
これだけです。4年の「空気のあたたまり方」はこの前半の話で、6年の「ものの燃え方」は後半の「入ってくる」ほうの話です。ろうそくがびんの中で消えるのも、上下に穴をあけると燃えつづけるのも、全部この1文で説明がつきます。
ですから家庭で最初に渡すのは、実験の結果でも用語でもなく、この1文です。先に1文を持っている子は、実験を「確かめ」として見ます。持っていない子は、実験を「覚えるべき結果」として見ます。同じ授業を受けても、残るものがまるでちがいます。
金属・水・空気は「3通り」ではなく、動けるかどうかで2つに分かれる
4年のあたたまり方で、子どもは金属・水・空気の3つを別々に暗記します。「金属は順に」「水は上から」「空気も上から」——3つ覚えて、テストで混ざります。
覚える数は3つも要りません。分かれ目は1つ、「あたためられた部分が動けるか、動けないか」です。
- 金属は動けない。 形が決まっていて、あたたまった部分がよそへ移動できません。だから熱せられたところから順に、近いところへじわじわ伝わっていきます。ぼうの真ん中を熱すれば、熱は左右どちらへも同じように広がります。上だから早い、ということはありません。
- 水と空気は動ける。 あたためられた部分そのものが上へ動いてしまいます。だから熱している場所が下のほうでも、先にあたたまるのは上です。上のあたたかいものが場所をゆずらないので、下はなかなかあたたまりません。
この2つに畳んでおくと、子どもは初めて見る問題でも自分で答えを出せます。「水の入った試験管の上のほうだけを熱したら、下はあたたまるか?」と聞かれたとき、暗記した子は止まりますが、分かれ目を持っている子は「あたたかい水は上にいるだけだから、下は冷たいまま」と言えます。
そして、なぜ上へ動くのかも一度だけ通しておいてください。あたためられると、水も空気ももとより大きくふくらみます(体積が大きくなる)。かさが増えても中身の量は増えていないので、同じかさで比べたときに軽くなります。軽いほうが上、重いほうが下——これは水にういたあぶらと同じ理由です。ここはもののとけ方で扱った「見えなくなっても、なくなってはいない」という見方とそのまま地続きです。
空気は目に見えないので、実験は「動いた証拠」を見にいく
空気のあたたまり方でつまずく最大の理由は、見えないことです。水なら絵の具やおがくずが回るのが見えますが、空気は何も見えません。だから子どもは、教科書の矢印を「そう書いてあるから」と覚えるだけになります。
家庭では、空気そのものではなく、空気に動かされたものを見るやり方に切りかえてください。火を使わずにできます。
- 暖房の効いた部屋で、天じょう近くと足もとの温度をはかる。 同じ部屋なのに天じょう近くのほうが高い。あたためられた空気が上にたまっている証拠です。
- エアコンの風の向きを見る。 暖房のときは下向き、冷房のときは上向きや水平になっています。あたたかい風は放っておくと上へ行ってしまうので、わざわざ下に向けて送っているのだと言うと、子どもは一気に納得します。
- ストーブやヒーターの上に、ティッシュを1枚ぶら下げる。 ふれない高さでよいので、上へあおられるのを見せます(火に近づけないこと)。
- 冬に窓を細くあけて、下のすきまに手を当てる。 冷たい空気は重いので下から入ってきます。上のすきまでは同じようには感じません。
どれも1分で終わります。大事なのは結果を見せることではなく、そのあとに「いまの、どっちが動いたと思う?」と聞くことです。子どもが「あたたかい空気が上に行った」と自分の言葉で言えたら、そこがゴールです。観察のさせ方そのものは理科の「観察」を家庭で楽しく続けるコツにまとめています。
ものが燃えるには3つ、消すには1つ取ればいい
6年の「ものの燃え方」に進みます。ここで子どもが暗記しがちなのが、消火の方法をばらばらに覚えることです。水をかける、ふたをする、どける——3つ別々に覚えて、応用が利きません。
先に、燃えつづけるために要るもの3つを渡してください。
- 燃えるもの(紙・木・ろうなど)
- 酸素(空気の中にある。空気そのものではなく、そのうちの一部)
- 高い温度(燃えつづけられるだけの熱さ)
そのうえで「消すときは、この3つのどれか1つを取ればいい」と言うと、消火の方法は覚える対象ではなくなります。水をかける=温度を下げる。ふたをする・砂をかける=酸素を断つ。燃えるものをどける=燃えるものを取る。 3つ覚えるのではなく、1つの考え方から3つが出てきます。
ここで空気と酸素を同じものだと思っている子が非常に多いので、1回だけ数で押さえてください。空気のうちおよそ5分の1(約21%)が酸素で、残りの大部分(約78%)はちっ素です。ちっ素はものを燃やすはたらきをしません。びん1本分の空気があっても、燃やすのに使えるのはそのうちの5分の1だけ——この感覚があると、次の話がすっと入ります。
いちばん多いまちがい:「酸素がなくなったから消えた」
ふたをしたびんの中のろうそくが、しばらくして消えます。ほとんどの子は「中の酸素が全部なくなったから」と答えます。これはまちがいです。
実際には、酸素はまだ残っています。もえたあとのびんの中の空気を調べると、酸素は21%から17%くらいまでしか減っていません。それでも火は消えます。酸素がゼロになったから消えるのではなく、うすくなると燃えつづけられなくなるから消えるのです。
そして、減ったぶんがどこへ行ったかもセットで押さえます。減った酸素のぶんだけ、二酸化炭素が増えています。だから燃えたあとの空気に石灰水を入れて振ると白くにごります。燃える前の空気ではにごりません。石灰水が白くにごる=二酸化炭素がある、という1対1の対応だけ持たせれば十分です。
この「ゼロになったのではなく、うすくなった」という言い方は、記述問題でそのまま点になります。「なぜ火が消えたか」に「酸素がなくなったから」と書くと、多くの場合まちがいとして扱われます。「酸素が減って、燃えつづけられなくなったから」と書けるかどうかです。子どもが「なくなった」と言ったら、その場で「全部なくなった? それとも減った?」と1回だけ聞き返してください。
穴を上下にあけると燃えつづけるのは、4年の話にもどるから
この単元の山場が、びんの口や側面に穴をあける実験です。子どもは「穴があいていれば燃える」と乱暴に覚えますが、問われるのは穴の位置です。
- ふたを閉じる(穴なし):空気が入れかわらない。しばらくして消える。
- 上だけ穴:あたたまった空気は出ていけるが、新しい空気が入ってくる口がない。うまく燃えつづけない。
- 上と下の両方に穴:下から新しい空気が入り、上からあたたまった空気が出ていく。ずっと入れかわるので、よく燃えつづける。
ここでさっきの1文を出してください。あたためられた空気は上へ動く。動いて出ていったぶん、下から新しい空気が入ってくる。 つまりこの実験は、6年の新しい話ではなく4年でやったことの続きです。子どもに「これ、4年のときの何と同じ?」と聞くと、つながった瞬間の顔をします。
キャンプでたき火を組むとき下にすきまを作るのも、まきストーブの下に空気の取り入れ口があるのも、七輪の下に窓がついているのも、全部これです。身のまわりの道具のほうが先に正解を出していると気づかせると、暗記が要らなくなります。
家庭での確かめ方は、火を使わずに5分
燃焼の実験は学校でやります。家庭で火を扱う必要はまったくありません。火を使わずに、同じ考え方だけ確かめられるものを選んでください。
- 空のペットボトルにふたをして、冷やす・あたためる:空気の体積が温度で変わることを、へこみ・ふくらみで見る。体積の変わり方は空気がいちばん大きく、水は少し、金属はごくわずかという順も、ここで一言そえておくと4年の別の単元とつながります。
- おふろの湯を、かき混ぜずに手を入れて確かめる:上はあつく、足もとはぬるい。「水は動けるから、あたたかいほうが上にいる」がそのまま体で分かります。
- 台所の換気せんが天じょう側にある理由を考えさせる:あたたかい空気と湯気が上へ行くから、出口は上。エアコンの向きの話と同じ理屈です。
- 石灰水は買わずに、「白くにごったら二酸化炭素」だけ覚えさせる:家庭で試薬をそろえる必要はありません。対応を1つ覚えるだけで、テストのその設問は取れます。
どれも道具を買わずにできます。実験は「やったことがあるか」より、「どちらが動いたかを言えるか」です。安全面の考え方は理科の「実験」を家庭で安全に楽しむコツにまとめてあります。
親が言うのは、この1問だけでいい
知識を確かめる質問(「対流ってなに?」)は、その場かぎりです。かわりに、どちらの単元でも使える1問を渡してください。
「それ、あたたかいほうはどっちへ動いたの?」
金属なら「動いていない、順に伝わっただけ」。水なら「上」。びんの中のろうそくなら「上から出ていって、下から新しいのが入ってきた」。どの場面でも答えの形が同じになるので、子どもは単元をまたいで同じ道具を使えるようになります。
そして、分かったことを1行だけ残させてください。「あたたかい空気は上」「火が消えるのは酸素が減ったから、ゼロじゃない」——このどちらかでも書き出してあれば、テスト前に読み返す価値のある1行になります。自主学習ノートに何を書けばいいかで書いたとおり、理科でノートに残す価値があるのは、実験の結果そのものより「なぜそうなったか」の1行のほうです。
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同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。
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