宿題の丸つけは親がどこまでやる? ― 答え合わせを子どもに返していく3段階
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宿題の丸つけを親が全部やると、子どもは×のついたページを見なくなります。かといって答えを渡すと、写して全部○にしてしまう。丸つけは「やってあげる作業」ではなく、時間をかけて子どもに返していく仕事です。渡す順番を3段階に分け、×の3つの種類の見分け方、答えを写す子への対応、親がやりがちな逆効果の丸つけまでまとめました。
丸つけでもめるのは、やり方ではなく「持ち主」がずれているから
宿題の丸つけをめぐって家庭で起きることは、だいたい次の2つのどちらかです。
- 親が全部丸つけする:子どもは丸つけの終わったページを受け取るだけになり、×がいくつあっても見ません。直しをさせようとすると、そこから毎晩けんかになります。
- 答えを渡して子どもにやらせる:写して全部○にしてしまい、まちがえた問題が1問も残りません。親は「ずるをした」と怒り、子どもは丸つけそのものをかくすようになります。
どちらも、やり方が悪いのではありません。ずれているのは丸つけが誰の仕事かです。丸つけは、親がやってあげる作業でも、いきなり子どもに投げる作業でもなく、何年かかけて少しずつ子どもへ返していく仕事です。返す順番さえ決めれば、上の2つはどちらも起きません。
そもそも丸つけは、点数を出すためのものではない
先に目的をそろえておきます。家庭での丸つけは、できた数を数えるためのものではありません。学校のテストとちがって、家の宿題に点数はいりません。
家庭の丸つけでやりたいことは1つだけです。まちがえた問題の置き場所を決めること。つまり「この1問は、あとでもう一度やる」と印をつけて、次にもう一度出会える場所に残す。それだけです。
この目的で見ると、○の数はどうでもよくなります。10問中9問合っていても、残りの1問が翌週もう一度出てこないなら、その丸つけは何も生んでいません。逆に、3問しか合っていなくても、まちがえた7問のうち1問が明日もう一度出てくるなら、その丸つけは仕事をしています。
丸つけを返していく3段階
いきなり全部渡すと写しになり、ずっと親がやると他人ごとになります。あいだに2つの段を置きます。目安の学年は書きますが、実際は前の段が安定してから次へで決めてください。学年で上げると必ず崩れます。
- 第1段:親が丸つけ、直しは子ども(低学年のはじめ)
親が○と×だけつけて、答えは言いません。子どもは×の問題をもう一度自分で解きます。ここでのねらいは「×は直すもの」という手順を体にいれることです。 - 第2段:子どもが丸つけ、親は×の数だけ見る(丸つけの手順が身についたら)
答えを子どもに渡し、丸つけを任せます。親は中身を検算せず、「×はいくつあった?」の1問だけ聞きます。×が0の日が続いたら、それは実力ではなく写しのサインです(次の見出しで扱います)。 - 第3段:丸つけもやり直しも子ども、親は最後の1行を見る(高学年)
親が見るのは、その日「つぎ気をつけること」を1行書けたかだけ。ここまで来ると、親の作業時間はほぼゼロになります。
大事なのは、第2段でいきなり「全部自分でやりなさい」と言わないことです。第2段は答えを渡すかわりに、×の数という報告をもらう取り引きです。この報告があるだけで、子どもは「×を出しても怒られない」と「×を消してもばれる」を同時に学びます。
「答えを写す」は、ずるではなくサイン
答えを渡すと写す。ほとんどの子が一度は通ります。ここで「ずるをした」と人格の話にすると、次からかくれてやるようになるので、対応を先に決めておきます。
写すという行動は、たいてい次のどれかのサインです。
- 問題がむずかしすぎる:手も足も出ないとき、子どもは時間内に終わらせる方法として写します。量か難度を下げるほうが先です。
- ×を出すのがこわい:前に×の数で怒られた経験があると、写しは自分を守る手段になります。
- 早く終わらせたい用事がある:単純に時間の問題のこともあります。
そして、写しを見つけるのに検算はいりません。答えは写せますが、途中の式や筆算は写せません(答えだけが載っている解答なら、なおさらです)。だから親が見るのは答えの欄ではなく、その左側の余白です。答えが合っているのに筆算が1つも無い日が続いたら、写しです。
見つけたときに言うことも1つに決めておきます。「この問題、いっしょに1問だけやってみようか」。写した理由を問いつめるのではなく、写さないと終わらなかった問題を1問だけ一緒にやる。むずかしすぎたのか、こわかったのか、そこで大体分かります。
×は3種類ある。分けないと、直しが全部むだになる
直しをさせるとき、まちがいを全部同じあつかいにすると量が多すぎて続きません。×は次の3つに分けられて、それぞれ手当てがちがいます。
- ① うっかり(やり方は分かっている):写しまちがい、くり上がりの書きわすれ、単位の書きわすれ。
→ その場で直させて終わり。同じ問題をくり返しやらせる必要はありません。効くのは「自分がよくやるうっかり」を1行にして、次に解く前に読むことです。 - ② やり方をまちがえている(手順が1か所ちがう):わり算の商を立てる位置がずれる、小数点の位置がずれる、公式のかけ算とわり算が逆。
→ ここがいちばん直すねうちのある×です。同じ型を2〜3問だけ解き直す。ここだけは翌日ももう一度やります。 - ③ 意味が分かっていない(何を聞かれているか読めていない):文章題で式が立たない、そもそも手が動かない。
→ その場で解かせても意味がありません。問題を音読させて、聞かれていることだけを言わせるところで止めるほうが進みます。式まで行けなくてもかまいません。
この3つを分けると、直しの量は自然に減ります。多くの家庭で毎晩もめている「直し」は、じつは①をくり返しやらせていることが原因です。①は直せば終わりで、練習の必要はありません。
×の書き方は、家庭で1回だけ決めておく
細かいようですが、ここが決まっていないと直しが残りません。
- ×は消さない:直したら×の横に正しい答えを書く。×を消してしまうと、あとで見直したときに「まちがえた問題がどれだったか」が消えます。
- 直しは赤で、元の答えも残す:自分がどうまちがえたかが残っていないと、②のやり方まちがいが見つかりません。
- もう一度やる問題には、印を1種類だけ:「☆」でも「・」でもよいので、1種類に決めます。2種類以上にすると、印をつけること自体が仕事になります。
この印がついた問題は、その日のうちに直すのではなく、次の日や週末にもう一度やるためのものです。まちがえた直後に解き直すと、覚えている答えを書けてしまい、できるようになった気になります。少し時間をあけると、本当にできるようになったのかが分かります。
親がやりがちな、逆効果の丸つけ
- 丸つけをしながら教える:ページの上から順に、×のたびに解説が始まるやり方です。子どもは終わりが見えないので、丸つけの時間そのものをいやがるようになります。まず最後まで丸つけを終える → そのあと直す問題を選ぶ、と作業を分けます。
- ×の数に反応する:「今日は多いね」も「今日は少ないね」も、どちらも×の数に価値があるという合図になります。反応するなら、直したことのほうにします。
- まちがえた問題を全部やり直させる:量が多いほど効くわけではありません。①まで全部やり直させると、翌日から×を減らそうとして写しが始まります。
- 親が消しゴムを持つ:親が消して書き直すと、ノートは親の作品になります。書くのは最後まで子どもの手です。
時間がとれない日のために、最短の形も決めておく
毎日ていねいにはできません。忙しい日のために、これだけはやるという最短の形を1つ決めておくと、丸つけが習慣として途切れません。おすすめは次の2分です。
- 1分:子どもが自分で丸つけをして、×の数だけ口で報告する。
- 1分:×の中から1問だけ選んで、明日もう一度やる印をつける。
直しはしません。それでも、まちがえた問題が1問だけ次の日に残ります。丸つけで残したい成果はもともとこれだけなので、2分でも成立します。
まとめ
丸つけで家庭がもめるのは、やり方ではなく持ち主がずれているからです。丸つけは親がやってあげる作業ではなく、少しずつ子どもへ返していく仕事で、①親が丸つけ・直しは子ども → ②子どもが丸つけ・親は×の数だけ聞く → ③丸つけも直しも子ども、と段をふんで渡します。目的は点数ではなくまちがえた問題の置き場所を決めることなので、○の数は見なくてかまいません。答えを写すのはずるではなくサインで、見つけるには答えではなく余白の筆算を見ます。×はうっかり・やり方まちがい・意味が分からないの3種類に分け、くり返し練習するのはやり方まちがいだけ。×は消さずに残し、印をつけた問題は少し日をあけてもう一度やる。忙しい日は「×の数を聞く+1問だけ印をつける」の2分で十分です。
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同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。
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