理科の「じしゃく・電気」を家庭で楽しく体験するコツ
2026年10月4日 更新📖 約10分で読めます
小学3年生の理科で登場する「じしゃくのせいしつ」と「電気の通り道」は、テストで意外とまちがえやすい単元です。というのも、この単元は暗記ではなく「さわって確かめた経験」がそのまま得点になるタイプだから。授業で実験する時間は限られていますが、じしゃくも電気も、家庭にある物で安全にたっぷり体験できます。つまずきやすいポイントと、家庭での遊び方・声かけを紹介します。
じしゃくで遊んだことのない子は、ほとんどいません。それなのに、小3理科の「じしゃくのせいしつ」「電気の通り道」は、テストでよく×がつく単元です。この記事では、ばらばらに見えるまちがいの根っこを1つにほどいたうえで、冷蔵庫のマグネットと電池のおもちゃだけでできる家庭での遊び方・表の作り方・声かけ・学校の単元とのつながりまで、順番に紹介します。
どこでつまずく? ― ばらばらのミスに見えて、根っこは1つ
テストの×を集めると、だいたい次の4つに分かれます。
- 「金ぞくなら何でもくっつく」と思っている…じしゃくにつくのは主に鉄。アルミニウム(1円玉)や銅(10円玉)はつかない
- 「じしゃくにつく物=電気を通す物」と混ぜる…アルミはじしゃくにつかないのに、電気は通す
- 「はなれていてもつく」を体験していない…紙や水ごしでも、じしゃくの力はとどく
- 回路を「輪」として見ていない…図は描けるのに、どうつなげば豆電球が光るのかを選ぶ問題で手が止まる
4つは別々のまちがいに見えますが、とくに点を落とす最初の2つは、根っこが同じです。子どもの頭の中で「金ぞく」がひとくくりになっていること。「金ぞくはくっつく」「金ぞくは通す」とまとめて覚えた結果、くっつく話と通す話が混ざるのです。このひとくくりをほどくことが、この単元の本体です。
×の正体 ― じしゃくと電気は「別のふるい」
じしゃくと電気は、どちらも物をより分ける「ふるい」だと考えると、すっきり整理できます。ただし、2つのふるいは、残る物がちがいます。
- じしゃくのふるい…残るのは鉄だけ。同じ金ぞくでも、アルミニウムや銅は落ちる
- 電気のふるい…金ぞくなら全部残る。鉄もアルミも銅も、電気を通す
この「ずれ」を見せてくれる証人が、アルミかん・1円玉・10円玉です。じしゃくにはつかないのに、電気は通す――テストでねらわれるのは、まさにこのずれの部分です。逆に言えば、ずれを一度でも自分の手で確かめて「あれ?」と言ったことのある子は、ここで迷いません。
家庭でできる「じしゃく探しゲーム」― 予想を先に言うのがルール
用意するのは、冷蔵庫のマグネットひとつでOKです。「この家でじしゃくにくっつく物を10個探そう」と競争するだけ。コツはひとつだけで、探す前に必ず「くっつくと思う?」と予想を言ってもらうことです。
- スチールかんとアルミかん…同じ「かん」なのに結果が分かれる、最高の教材
- 1円玉・10円玉…金ぞくなのにくっつかない驚き
- ステンレスのシンク・スプーン…物によってくっつき方がちがい、発見が生まれる
- ドアや家具の「木に見える部分」…中に鉄が入っていてくっつくことがある逆パターン
予想→確かめ→「あれ?」という流れは、理科の実験の型そのものです。確かめる形の作り方は理科の「実験」を家庭で安全に楽しむコツにまとめました。そして、予想が外れたときほど「外れたね!」と明るく言うのがコツです。外れた予想の瞬間こそ、頭の中の「金ぞくはくっつく」が書き直されている瞬間だからです。
「2列の表」に仕分けする ― じしゃく○×・電気○×
探しゲームで集めた物は、そのままにせず「2列の表」にします。紙に線を引いて、物の名前のよこに、1列目「じしゃくにつく?(○×)」、2列目「電気を通す?(○×)」。同じ物を、2つのふるいに1回ずつかけるのがポイントです。
電気の列は、豆電球と電池の実験キットが家にあれば実際に確かめ、なければ予想だけ書いて、マスを空けておきます。空いたマスは「学校の実験で確かめたいことリスト」になり、授業がそのまま答え合わせの時間に変わります。家で全部終わらせる必要はありません。
表がうまってくると、物が3つのグループに分かれることに、子ども自身が気づきます。両方○(鉄)・電気だけ○(アルミや銅)・両方×(プラスチック・木・紙)。この3グループが見えた瞬間が、「金ぞく」のひとくくりがほどける瞬間です。
表に1行くわえてほしいのが、はさみです。切る部分(鉄)はくっつくのに、持つところ(プラスチック)はくっつかない――1つの物の中でも、場所によって結果がちがうことに気づけます。くっつくかどうかは「物の名前」ではなく「何でできているか」で決まる――この単元の結論に、いちばんの近道でたどりつける1行です。
じしゃくの力をもっと遊ぶ ― はなれていても、水の中でも
くっつく・つかない以外にも、じしゃくには体験しておきたい性質が2つあります。
- はなれていてもつく…下じきや紙の上からクリップを動かす。水を入れたコップの外側から、中にしずんだクリップを引き上げるのも、見ごたえのある遊び
- 極どうしの引き合い・しりぞけ合い…マグネット2つを近づけると、向きによってくっついたり、おし返されたりする。あの「おし返される手ごたえ」は、体験でしか分からない
もうひとつ、鉄くぎをじしゃくで同じ向きに何回もこすると、くぎ自体が一時的にじしゃくになって、クリップを引きつけるようになります。「じしゃくは作れる」という驚きは、あとで紹介する5年生の電磁石への、最高の伏線になります。
電気は「豆電球キット」がなくても考えられる ― 通り道を指でたどる
通電の実験器具が家になくても大丈夫。おすすめは、電気製品の「電気の通り道」を指でたどる遊びです。「このライト、電気はどこから来てどこを通ってる?」とコンセントから電球までたどるだけで、「回路は輪っかになっている」という単元の核心に近づけます。
電池で動くおもちゃがあれば、電池ボックスを開けて、電池の向き(+と−)を逆にすると動かないことを確かめるのも立派な実験です。向きを戻せばまた動く――「電気には流れる向きがある」ことが、こわす心配なしに確かめられます。
もうひとつの教材が、部屋のかべにあるスイッチです。スイッチとは、輪の切れ目を作ったりつないだりする場所のこと。「スイッチを切る」という言葉は、本当に電気の輪っかを切っています。これを知ってから押すスイッチは、もう立派な理科の教材です。
安全のやくそく ― 最初に3つだけ決める
じしゃくと電気の家庭遊びは安全なほうですが、やくそくだけは、遊びはじめる前に決めておきます。3つだけです。
- コンセントでは絶対に実験しない…さわっていいのは電池で動く物だけ、と最初に線を引く
- じしゃくとボタン電池を口に入れない…小さいじしゃくを2個以上飲みこむと、おなかの中でくっついて大変危険。小さいきょうだいがいる家庭では、遊んだあとの片づけと「数がそろっているか」の確認まで
- 磁気カードやスマホに近づけない…キャッシュカードなどは、じしゃくでこわれることがある
あとから「それはだめ」「これもだめ」が増えていくと、遊びそのものが禁止に近づいていきます。先に3つ決めて、あとは思いきり遊ばせる――順番が大事です。
「どうしてだと思う?」で止まるのが最高の関わり方
じしゃく遊びの最中、子どもは必ず「なんで1円玉はくっつかないの?」と聞いてきます。ここで大人がすぐ答えを言ってしまうのは少しもったいないところ。「ほんとだね、なんでだと思う?」と一度返すだけで、子どもは自分の言葉で理由を考え始めます。
出てきた予想が科学的に正しいかどうかは、実はあまり重要ではありません。「ふしぎ→予想→確かめたい」のサイクルが回った経験そのものが、授業での実験を「知ってる!やったことある!」に変えてくれます。
遊んだ結果は表のまま残す ― 記録は自由研究の材料になる
2列の表には日付を書いて、捨てずに残しておきましょう。書き方のコツは「見たまま(けっか)」と「思ったこと(予想・ふしぎ)」を分けて書くこと。これは観察カードとまったく同じ型で、くわしくは理科の「観察」を家庭で楽しく続けるコツにまとめました。
日付のついた表が2〜3枚たまれば、そのまま夏休みの自由研究の材料になります。「家の中のじしゃくマップ」「くっつく物・つかない物しらべ」は低学年の自由研究の定番で、まとめ方の型は理科の「自由研究」を最後までまとめきるコツをどうぞ。
学校の単元へのつながり ― 3年で分けた2つが、5年で合流する
3年生の「じしゃくのせいしつ」「電気の通り道」は、その先に続く単元の入口です。4年生で「電気のはたらき」(直列つなぎ・へい列つなぎ)、5年生で「電磁石のはたらき」、6年生で「電気の利用」へと進んでいきます。
注目してほしいのは、5年生の電磁石です。3年生で「別のふるい」として分けたじしゃくと電気が、ここで合流します。コイルに電気を流すと、ただの鉄くぎがじしゃくになる――2つを「別物」ときちんと分けられている子ほど、この合流に大きな驚きを感じ、だからこそ深く記憶に残ります。3年生の家庭遊びは、2年後のこの瞬間への仕込みでもあるのです。
よくある質問
Q1.じしゃくを近づけてはいけない物はありますか?
あります。キャッシュカードなどの磁気カード、スマホ・パソコン・うで時計には近づけないでください。こわれたり、カードが読めなくなったりすることがあります。冷蔵庫のとびらや金属製の家具は大丈夫です。「近づけていい物」を全部覚えるより、「だめな物3つ」を先に覚えるほうが、子どもには守りやすいやくそくになります。
Q2.ステンレスのスプーンに、くっつく物とくっつかない物があります
ステンレスは鉄を主な材料にした合金ですが、まぜ方(種類)によって、じしゃくにつく物とつかない物があります。小3の範囲では「ステンレスは種類による」で十分です。むしろ「同じ名前の材料なのに結果がちがう」ことに自分で気づけたら、それは2列の表の中でいちばんおもしろい発見です。
Q3.100円ショップのじしゃくで十分ですか?
十分です。黒いフェライト磁石やシート磁石で、この記事の遊びは全部できます。逆に、強力なネオジム磁石は、指をはさむ・小さい粒を飲みこむなどの事故が実際に起きているため、低学年の遊び用にはおすすめしません。強さより、安心して持たせられることを優先してください。
Q4.「なんで鉄だけくっつくの?」に答えられません
答えられなくて大丈夫です。理由のちゃんとした説明は高校の物理まで持ちこされる内容で、大人が一言で説明できないのが普通です。小3で大事なのは、理由よりも「鉄だけがつく」という事実を自分の手で確かめた経験のほうです。「不思議だね、鉄だけなんだよね」と、いっしょに不思議がってあげてください。
まとめ
この記事を短くすると、こうなります。
- ×の正体は「金ぞく」のひとくくり。じしゃくのふるいに残るのは鉄だけ、電気のふるいには金ぞく全部が残る。
- ずれの証人はアルミかん・1円玉・10円玉。探す前に「くっつくと思う?」と予想を言ってもらう。
- 集めた物は「2列の表」(じしゃく○×・電気○×)に仕分けする。空いたマスは「学校で確かめたいことリスト」。
- やくそくは先に3つだけ。コンセント禁止・口に入れない・磁気カードに近づけない。
- 3年で「別のふるい」と分けた2つは、5年の電磁石で合流する。家庭の遊びはその仕込み。
まずは今日、冷蔵庫のマグネットを1つはがして、「くっつくと思う?」から始めてみてください。家じゅうが理科の教材に変わります。遊んだ結果のふりかえりには、クラビオの「さくせんノート」も使えます。「今日やったこと・できたこと・つぎの作戦」を1分で書くだけの小学生向けふりかえりアプリで、無料ではじめられます。
この記事がお役に立ったら
同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。
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