つなぎことばとこそあど言葉 ― 読解でいちばん落としやすい2つを、家庭で見直す方法
2026年10月11日 更新📖 約11分で読めます
長文になると意味が取れない、記述問題が白紙になる――その原因は語彙でも漢字でもなく、「だから・しかし」などのつなぎことばと、「それ・この」などのこそあど言葉を素通りしていることが多いものです。4つの型に分けて読む手順と、指す中身を自分で確かめさせるやり方をまとめました。
漢字も語彙も足りているのに、長文で点が取れない子がいます
「音読はすらすらできる」「漢字テストは満点」「語彙も年齢なりにある」——それなのに、長い文章になったとたんに読み取れなくなる子がいます。保護者からは「結局、読む量が足りないのでしょうか」と聞かれることが多いのですが、量を増やす前に見るべき場所があります。
それがつなぎことば(接続語)とこそあど言葉(指示語)です。この2つは、文章の中で意味を運んでいるのに、目立たないという共通点を持っています。「だから」「しかし」「それ」「この」——どれもひらがな数文字で、読み飛ばしても音読は止まりません。だから、つまずいていても気づかれにくいのです。
そして、テストで配点が大きい記述問題は、この2つを踏み台にして作られています。「それは何を指しますか」「筆者がこう考えたのはなぜですか」——前者はこそあど言葉、後者はつなぎことばの問題です。読解の失点は、読む力の総量ではなく、この2か所で起きていることが多いというのが出発点です。
つなぎことばは、4つの型だけ覚えれば足ります
つなぎことばは種類が多く見えますが、小学生のうちは4つの型に分ければ困りません。覚えるのは代表の1語だけで、あとは「その仲間」で構いません。
- ①だから型(前が理由・後ろが結果):だから、それで、そこで。「雨がふった。だから遠足は中止になった。」——前が理由、後ろがその結果です。
- ②しかし型(後ろが予想と逆):しかし、でも、ところが、けれども。「雨がふった。しかし遠足は行われた。」——中止になりそうなのに、ならなかった。予想の逆が来る合図です。
- ③そして型(同じ向きのことを足す):そして、それから、また、さらに。「雨がふった。そして風も強くなった。」——向きは変わらず、情報が増えます。
- ④つまり型(前を言いかえる・例をあげる):つまり、このように、たとえば。「雨がふった。つまり、外では遊べない日だった。」——新しい話ではなく、前と同じ内容を別の言い方にしただけです。
教えるときのコツは、4つを並べて覚えさせないことです。同じ「雨がふった。」の後ろだけを入れかえて、続きを子どもに言わせます。「雨がふった。しかし……?」と止めると、子どもは自分で「でも遠足は行った」と続きを作ります。つなぎことばは、後ろに何が来るかを予告する言葉だ——これが体で分かれば、覚える作業はほぼ終わりです。
テストで効くのは、②しかし型と④つまり型です
4つのうち、点数に直結するのは②と④です。理由がはっきりしています。
- ②しかし型のあとに、筆者の言いたいことが来やすい:説明文では「たしかに〜。しかし〜。」の形で、前半にありがちな考えを置き、後半に自分の主張を置きます。「しかし」に印をつけて、その後ろだけを拾い読みすると、主張がまとまって見えてきます。
- ④つまり型のあとは、答えの言葉そのもの:「つまり」「このように」の後ろは、筆者が自分で要約してくれている場所です。記述問題の答えは、たいていこの近くから取れます。
- 「たとえば」の後ろは、答えにしない:ここだけ注意が要ります。「たとえば」の後ろは具体例なので、要約や「筆者の考え」を答える問題でそのまま写すと減点されます。例は、その前にある考えを分かりやすくするための道具です。「たとえば」が来たら、答えは前にあると覚えます。
家庭でやるのは1つだけで十分です。説明文の音読の宿題のとき、「しかし」と「つまり」だけに鉛筆で印をつけさせます。読む内容は変えません。印をつけ終わったあと、「しかしの後ろだけ読んでみて」と言うと、多くの子が「筆者が言いたいこと、ここに全部ある」と自分で気づきます。
こそあど言葉は、必ず「前」にもどって確かめます
こそあど言葉は、「これ・それ・あれ・どれ」と、その仲間の「この・その・あの」「ここ・そこ・あそこ」「こんな・そんな」です。頭文字を取って「こそあど」と呼びます。
大事な決まりは1つだけです。こそあど言葉が指している中身は、ほとんどの場合それより前に書いてあります。しかも多くは、すぐ前の一文か、そのうちの一部です。ここを知らない子は、指す先を後ろに探しに行って迷子になります。
手順は3つです。
- ①こそあど言葉に丸をつける。まず、そこに「置きかえる場所」があると気づかせます。
- ②前にもどって、候補になりそうなところに線を引く。すぐ前の一文から見ます。
- ③線を引いたところを、丸のところに入れて読み直す。意味が通れば正解、通らなければ範囲が違います。
この③が、この記事でいちばん伝えたいところです。こそあど言葉の問題は、子どもが自分で正解を確かめられる、数少ない国語の問題です。算数の検算と同じで、大人が丸をつけなくても本人が判定できます。「入れて読んで、通った?」——この一言だけで、答え合わせが子どもの側に移ります。
こそあど言葉のつまずきは、3つの型に分かれます
- ①指す範囲を短く取りすぎる:いちばん多い型です。「兄は毎朝六時に起きて走っている。それを三年続けている。」で、「それ=走っている」とだけ答えてしまう。入れて読むと「走っているを三年続けている」となり、日本語として不自然です。手当ては③の入れ直しだけで済みます。「一語で答えなさい」と書いていないなら、一文まるごとが答えのこともあると伝えておきます。
- ②後ろを探しに行く:「それ」が出てきた時点で、次の文を読んで答えようとする型です。「こそあどが出たら、目は前へ」とだけ決めておきます。指を使って前の行にもどらせると、一度で直ることが多い型です。
- ③段落をまたぐと見つけられない:直前の一文にない場合、その段落全体の内容を指していることがあります。ここは①②が固まってから進みます。目印は「このように」「そんなわけで」などの、まとめ役のこそあど言葉です。
3つを同時に扱わないでください。1回の練習で見るのは1つだけです。とくに①は、入れて読み直す習慣がつけば、それだけで消えていきます。
家庭での見分け方:3つの問いで分かります
どこで止まっているかは、次の3つを声に出して答えさせれば、ほぼ判別できます。紙もプリントも要りません。
- 「雨がふった。しかし、遠足は◯◯。」の◯◯を言ってごらん → ここで「中止になった」と答えるなら、つなぎことばの型(とくに②)から始めます。「しかし」を「だから」と同じに読んでいる状態です。
- 「弟が公園でさいふをひろった。それを交番に届けた。」の『それ』は何? → 「弟」と答えたら②の型(前ではない場所を見ている)、「公園」なら範囲の取り方、「さいふ」なら正解です。入れて読み直させて確認します。
- 「兄は毎朝六時に起きて走っている。それを三年続けている。」の『それ』は何? → 1つ目が正解でここだけ迷うなら、①の「範囲が短い」型です。「毎朝六時に起きて走ること」まで取れれば合格です。
点数はつけません。正解の数ではなく、どこで止まったかを見るための3問です。1つ目で止まるならつなぎことば、2つ目・3つ目で止まるならこそあど言葉から手をつけます。
やり方は、短く残しておく
つなぎことばとこそあど言葉は、国語の中だけの話ではありません。算数の文章題も、理科の実験の説明も、社会の資料の解説も、この2つで組み立てられています。ここが通るようになると、教科をまたいで読み取りが軽くなります。
今回うまくいった手当ては、一行だけ残しておくと次に困ったときにすぐ戻れます。「しかしの後ろに筆者の言いたいことがある」「たとえばの後ろは答えにしない」「こそあどが出たら、目は前へ。入れて読み直す」——この程度で十分です。ノートの端でも、ふりかえりのアプリでもかまいません。大事なのは、次につまずいたときに思い出せる形で残っていることです。
つなぎことばは、文の頭だけに出るわけではありません
ここまでの「しかし」「つまり」に印をつける練習は、新しい文の頭に出てくるつなぎことばを前提にしていました。ところが4年生くらいからの説明文では、同じ理屈が1つの文の中にくっついたまま出てきます。「ので」「から」「のに」「けれど(も)」――これらは文と文のあいだを割らずに、だから型・しかし型をそのまま1つの文に埋め込んだ形です。
- 「ので」「から」=文中のだから型:「雨がふったので、遠足は中止になった。」は「雨がふった。だから遠足は中止になった。」と同じ、理由→結果の関係です。文が2つに分かれていないだけで、型は変わりません。
- 「のに」「けれど(も)」=文中のしかし型:「雨がふったのに、遠足は行われた。」は「雨がふった。しかし遠足は行われた。」と同じ、予想の逆の関係です。
この形がくせものなのは、「文の頭を見る」という今までの合図が働かないことです。②しかし型と④つまり型に印をつけるやり方は、文の頭に出てくる言葉だけを拾う作業でした。「のに」「ので」は文の真ん中に紛れていて、しかも1〜2文字の助詞なので、素通りされやすいのです。記述問題の答えがこの真ん中の一語にかかっている説明文で読み落とすと、理由と逆接を取りちがえたまま答えを書いてしまいます。
確かめ方は1つだけです。文の途中に「ので・から」が出てきたら、そこで文を切って「。だから、」に置きかえてみます。意味がそのまま通れば、だから型の仲間だと分かります。「のに・けれど」が出てきたときは、同じようにそこで切って「。しかし、」に置きかえます。通れば、しかし型の仲間です。この切って置きかえる作業さえできれば、1つの文でも4つの型のどれかに戻せます。
もう1つだけ注意がいる言葉が「ため」です。「ため」は理由にも目的にも使われる、2つの顔を持つ言葉だからです。「電車が止まったため、学校に遅れた。」はもう起きた出来事が理由になっているので、だから型の仲間です。一方「学校に遅れないため、早く家を出た。」は、まだ起きていないことをわざと目指しているので、理由ではなく目的です。見分け方は、「ため」の前が「もう起きたこと」か「これから目指すこと」かの1点だけです。目的の「ため」は、だから型には入れません。
合いことば ―「くっついていても、切れば同じ4つ。」
1つの文の中に「ので・のに・から・けれど」が出てきたら、そこで一度止まって切ってみます。くっついていても、切れば同じ4つ。——このひとことを思い出せれば、文がいくつに分かれていても、だから型としかし型のどちらに当たるかを自分で判定できます。
よくある質問
Q. 「のに」と「けれど」はどうちがいますか?
A. どちらも1つの文の中の逆接で、しかし型の仲間です。文を切って「。しかし、」に置きかえて意味が通るかで確かめます。小学生の読解では、2つを区別する必要はありません。
Q. 「ので」と「から」は、意味がちがいますか?
A. どちらも理由を表す、だから型の仲間です。文を切って「。だから、」に置きかえて意味が通れば、同じ仲間だと確認できます。
Q. 「ため」はいつもだから型ですか?
A. いいえ。「ため」の前がもう起きた出来事なら理由(だから型)ですが、これから目指すことなら目的で、だから型には入れません。「電車が止まったため」は理由、「遅れないため」は目的です。
Q. 文中の「ので・のに」も、音読の印つけに入れますか?
A. はい。「しかし」「つまり」と同じ鉛筆で、文の途中に出てきた「ので・のに・から・けれど」にも印をつけさせると、文の数にかかわらず同じ練習になります。
まとめ
長文で点が取れないとき、原因は読む量や語彙ではなく、つなぎことばとこそあど言葉を素通りしていることが多いものです。つなぎことばは、だから型(理由→結果)・しかし型(予想の逆)・そして型(足す)・つまり型(言いかえ)の4つに分ければ足ります。テストで効くのは「しかし」と「つまり」の後ろで、逆に「たとえば」の後ろは具体例なので答えにしません。こそあど言葉は、指す中身が必ず前にあることと、見つけた答えをその場に入れて読み直せば自分で正解を確かめられることの2つを渡します。どちらも、音読の宿題に30秒足すだけで練習できます。文がくっついて1つになっていても、「ので・のに・から・けれど」を見つけて切ってみれば、同じ4つの型に戻せます。合いことばはくっついていても、切れば同じ4つ。
この記事がお役に立ったら
同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。
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