平均と単位量あたりの大きさでつまずく子への、家庭でできる教え方 ― 別々に覚えず「ならす」1本にそろえる
📖 約7分で読めます
平均と単位量あたりの大きさは、教科書では別の単元ですが、やっていることは同じ「ならす」です。平均は合計÷個数、単位量あたりは1あたりに直して比べる。0点や欠席をどう数えるか、混み具合を「1㎡あたりの人数」と「1人あたりの面積」のどちらで比べるか、比べる向きをまちがえないための決め方、レシートと部屋でできる家庭練習をまとめました。
2つの単元は、同じことを言っている
5年生の算数で、平均と単位量あたりの大きさは別々の単元として出てきます。子どもは別々に覚えようとして、公式が2つに増えたところで混ざります。「平均は÷だっけ×だっけ」「混んでるほうって数が大きいほう?」——ここで止まります。
ところが、2つがやっていることは同じです。でこぼこをならして、1つぶんの大きさをそろえる。 平均は「ばらばらの数をならす」、単位量あたりは「大きさのちがうものをならして比べる」。ならすという1本にそろえると、覚えることは1つで済みます。
ですから家庭では、公式を2つ暗記させないでください。先に渡すのは「ならす=わり算」という一言です。
平均は「合計 ÷ 個数」、逆向きも同じ式で解く
平均の式は1本だけです。合計 ÷ 個数 = 平均。
- テストが 80点・65点・90点・85点:合計は 320 点。個数は 4。320 ÷ 4 = 80 点。
つまずくのは、ここから先の「逆向き」の問題です。「次で何点とれば平均82点になる?」 という聞かれ方をすると、多くの子が手を止めます。
新しい式は要りません。合計 = 平均 × 個数 に戻すだけです。
- 5回で平均82点にしたい → ほしい合計は 82 × 5 = 410 点。
- いまの4回の合計は 320 点。
- 410 − 320 = 90 点。次に90点とればよい。
この順番——①ほしい合計を作る ②今の合計を引く——は、平均の逆向きの問題すべてに効きます。家庭では、答えが合っているかより「ほしい合計はいくつ?」と最初に聞けたかを見てください。そこさえ出れば、あとは引き算です。
0点は数に入れる。休んだ日は入れない
平均でいちばん多いまちがいは、計算ではなく「いくつで割るか」です。ここだけは、言葉で決めておきます。
- 0 も1つとして数える。 3日間の読書が 12ページ・0ページ・21ページなら、合計 33 ページを 3 で割って 11 ページ。0の日を抜いて 33 ÷ 2 = 16.5 とするのはまちがいです。0ページ読んだ、という日がちゃんとあったからです。
- 休んで測っていない日は、数に入れない。 こちらは「無かった」ので、個数からも外します。
「0」と「無し」はちがう——この区別が、平均のつまずきのほとんどです。子どもが割る数をまちがえたときは、計算を直す前に「その日は0だったの? 測ってないの?」と聞いてください。
もう1つ、伝えておくとよいことがあります。平均は、実際にはない数になってよいということです。4つの家庭の子どもの人数が 1人・2人・2人・4人なら、9 ÷ 4 = 2.25 人。「2.25人なんて変だ」と言われたら、「ならしたらこのくらい、という目安の数だから」で十分です。
単位量あたりは、比べ方を先に1つ決める
単位量あたりの大きさは、大きさのちがうものを比べるための道具です。教室の混み具合で見てみます。
- A教室:20㎡ に 16人
- B教室:32㎡ に 20人
面積も人数もちがうので、そのままでは比べられません。そこで1あたりに直します。直し方は2通りあります。
- 1㎡あたりの人数(人数 ÷ 面積):A は 16 ÷ 20 = 0.8 人。B は 20 ÷ 32 = 0.625 人。大きいほうが混んでいるので、A。
- 1人あたりの面積(面積 ÷ 人数):A は 20 ÷ 16 = 1.25 ㎡。B は 32 ÷ 20 = 1.6 ㎡。小さいほうが混んでいるので、A。
どちらで比べても答えは A で同じです。ここが大事なところで、正解の出し方は1つではありません。にもかかわらず子どもが混乱するのは、途中で比べ方を乗りかえてしまうからです。Aは1㎡あたり、Bは1人あたりで出して並べれば、当然かみ合いません。
ですから手順を固定します。①どちらの「1あたり」で比べるかを先に決めて書く ②両方とも同じやり方で出す ③大きいほうが混んでいるのか、小さいほうが混んでいるのかを言葉で言う。
③を省かないでください。数は正しく出せたのに、最後の向きだけまちがえて×になる子がとても多いところです。「1人あたりの面積がせまいほうが混んでいる」と口に出せれば、それで防げます。
人口密度は、単位量あたりに名前がついただけ
社会科でも出てくる人口密度は、新しい計算ではありません。1km²あたりの人数、つまりさっきの「1㎡あたりの人数」と同じ形です。
- 人口 45000人・面積 90km² の町:45000 ÷ 90 = 500 人/km²。
- 人口 72000人・面積 120km² の町:72000 ÷ 120 = 600 人/km²。
人口も面積も後の町のほうが大きいのに、混んでいるのも後の町です。「人口が多い=混んでいる」ではないことが、この2つを並べるとはっきりします。
逆に、人口が多くても面積がうんと広ければ密度は下がります。2つの数のうち片方だけを見て決めない——これが単位量あたりを学ぶ理由そのものです。
つまずきやすい4つの型と、その手当て
- ①平均で、割る数をまちがえる:手当ては「0だったのか、測っていないのか」を聞くこと。0は数に入れ、測っていない日は外します。
- ②平均の逆向きで手が止まる:手当ては「ほしい合計はいくつ?」を先に言わせること。平均 × 個数 で合計を作れば、あとは引き算です。
- ③単位量あたりで、割る向きが逆になる:手当ては単位を先に書かせること。「1㎡あたりの人数」を出すなら答えは人数なので、人数 ÷ 面積。求めたいものの名前が、そのまま割られる数です。
- ④出した数の、大小の向きをまちがえる:手当ては言葉で1回言わせること。「1人あたりの面積は、せまいほうが混んでいる」。ここを飛ばすと、計算が合っていても答えが逆になります。
4つを一度に直そうとしないでください。1回の見直しであつかうのは1つだけです。答案を並べると、多くの子は①②のどちらか(平均側)か、③④のどちらか(単位量側)に固まっています。
家庭では、レシートと部屋で足ります
- 100gあたりで比べる。 「300gで480円のお肉と、200gで340円のお肉、どっちが得?」。480 ÷ 3 = 160 円、340 ÷ 2 = 170 円。100gあたりが安いのは前のほうです。値段だけを見ると後のほうが安く見えるので、1あたりに直す意味がその場で伝わります。
- 今週の平均を出す。 勉強した時間でも、歩いた歩数でもかまいません。「やらなかった日は0分として数える」を必ず入れてください。0を数に入れる練習が、そのまま①の手当てになります。
- 部屋の混み具合を比べる。 家族が集まっている部屋と、そうでない部屋。だいたいの広さで十分です。「1人あたり何畳か」を出して、せまいほうが混んでいる、と言わせます。
どれも1回1分で終わります。毎日でなく、買い物のたび・週末に1つで十分です。ここで身につく「1あたりに直してから比べる」は、このあとの速さ(1時間あたりに進む道のり)や割合に、そのままつながります。
やり方は、短く残しておく
平均も単位量あたりも、一度分かればむずかしくない代わりに、しばらく使わないと割る向きから抜けます。テスト前に思い出せるよう、今回うまくいった手順を一行だけ残しておいてください。「平均は合計÷個数、0の日も数える」「逆向きは、ほしい合計を先に作る」「単位量あたりは、比べ方を先に決めて、最後に大小の向きを言う」——この3行で足ります。
ノートの端でも、ふりかえりのアプリでもかまいません。大事なのは、次に同じ形で落としたときに思い出せる形で残っていることです。
まとめ
平均と単位量あたりの大きさは別の単元に見えますが、どちらも「ならす」=わり算です。平均は 合計 ÷ 個数(80・65・90・85 なら 320 ÷ 4 = 80点)、逆向きに聞かれたら 平均 × 個数 でほしい合計を作ってから今の合計を引きます(5回で平均82点なら 82 × 5 = 410、410 − 320 = 90点)。割る数をまちがえないために、0の日は数に入れ、測っていない日は外します。単位量あたりは、比べ方(1㎡あたりの人数か、1人あたりの面積か)を先に1つ決めて両方を同じやり方で出し(20㎡16人は 0.8人/㎡・1.25㎡、32㎡20人は 0.625人/㎡・1.6㎡でどちらでもAが混んでいる)、最後に大小の向きを言葉で言います。人口密度も同じ形で、人口が多い町が混んでいるとは限りません。つまずきは4つの型に分かれるので、1回に1つずつ手当てします。練習はレシート1枚と部屋1つ、1分で足ります。
この記事がお役に立ったら
同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。
あわせて読みたい
- 算数・約10分「面積の公式」が覚えられない子への、家庭でできる教え方 ― 4つ覚えるのではなく、「長方形に直す」1つの動きにする
三角形・平行四辺形・台形・ひし形の面積の公式は、4つを別々に覚えるから混ざります。どれも「長方形に直す」1つの動きから出てくること、÷2 がつく式とつかない式の…
- 算数・約8分がい数・四捨五入でつまずく子への、家庭でできる教え方 ― 四捨五入する前に、見るけたを指で押さえる
4年算数の「がい数」は、四捨五入のやり方が分からないのではなく、どのけたを見ればいいか分からなくて間違えます。「百の位まで」「百の位を四捨五入」「上から2けた」は、見るけたが…
- 算数・約9分比でつまずく子への、家庭でできる教え方 ― 「1こぶん」を先に出せば、比例配分まで一本道
比は新しい計算ではなく、割合の書き表し方をかえただけです。3:2は「3こぶんと2こぶん」。等しい比かどうかは比の値でたしかめ、比をかえるときは両方に同じ数をかける・わる。比例配分でつまずくのは…
ほかの困りごとをさがす
記事の見出しと、本文の小見出しからさがします。