「面積の公式」が覚えられない子への、家庭でできる教え方 ― 4つ覚えるのではなく、「長方形に直す」1つの動きにする
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三角形・平行四辺形・台形・ひし形の面積の公式は、4つを別々に覚えるから混ざります。どれも「長方形に直す」1つの動きから出てくること、÷2 がつく式とつかない式の見分け方、そして全部をこわす「高さは底辺に垂直」の一点まで、紙とはさみでできる確かめ方つきでまとめました。
公式が4つに見えているうちは、ぜったいに混ざる
面積でつまずく子の答案を見ると、計算そのものはできています。まちがっているのは、たいていどの式を使うかと÷2 をつけるかどうかの2か所だけです。
理由ははっきりしています。小4で「たて×よこ」を習ったあと、小5で平行四辺形・三角形・台形・ひし形の面積が、ひと月たらずのあいだに立て続けに出てくるからです。子どもの頭の中には、こう並びます。
- 平行四辺形 … 底辺×高さ
- 三角形 … 底辺×高さ÷2
- 台形 … (上底+下底)×高さ÷2
- ひし形 … 対角線×対角線÷2
似た形の式が4本。どれも「×高さ」で、そのうち3本に「÷2」がついている。これを4つの別々のことがらとして覚えようとするから、テストで「÷2 がついていたのはどれだっけ」になります。覚える量が多いのではなく、覚え方の単位がまちがっているのです。
だから家で最初に渡すのは、5本目の公式ではなく、この一言です。
面積の公式は4つもない。長方形が1つあるだけで、あとは「長方形に直す動き」が3つあるだけ。
この見方に切りかえると、÷2 は暗記するものではなく「2つ合わせたから、半分にもどす」という手順の跡になります。理由のある数字は、忘れてもその場で出てきます。
出発点 ― 「たて×よこ」は公式ではなく、ますの数え方
小4で習う長方形の面積は、じつは公式を覚える話ではありません。1辺が1cmの正方形(1cm²)が、何こ分あるかを数えているだけです。
たて3cm・よこ4cm の長方形なら、1列に1cm²のますが4こ、それが3列。だから 4×3=12 で 12cm²。九九そのものです。方眼紙にかいて実際に数えさせると、5秒で納得します。
ここで大事なのは、正方形の公式を別に覚えさせないことです。「1辺×1辺」は、たてとよこがたまたま同じ長方形というだけで、新しい式ではありません。公式の本数は、この時点ではまだ1本です。
そして、面積という言葉の意味もここで固めておきます。面積は「広さ」=中身。まわりの長さは「へりの長さ」=外まわり。この2つを混ぜる子はかなり多く、しかも高学年まで残ります。「ますが何こ分か(中)」と「ひもで囲むと何cmか(外)」と言い分けるだけで、だいぶ減ります。
平行四辺形 ― はしを切って、反対がわへ移すと長方形になる
1つめの「動き」です。平行四辺形を、高さに沿ってまっすぐ1回だけ切ります。左はしに出る三角形を切りはなして、そのまま右はしへ移動させると ― ぴったり長方形になります。
切って動かしただけなので、広さは1mmも変わっていません。できあがった長方形の「よこ」は元の底辺、「たて」は元の高さです。だから、
平行四辺形の面積 = 底辺 × 高さ。÷2 はつきません。長方形そのものになったのだから、半分にする理由がないのです。
ここで必ず言っておくことが1つあります。ななめの辺(となりの辺)は、面積の計算にいっさい使いません。平行四辺形の問題で、5cm と書かれたななめの辺をそのまま掛けてしまう ― これが小5で最も多い誤答です。使うのは底辺と、それに垂直な高さの2つだけ。図に数字が3つ書いてあったら1つは使わない数字だと先に伝えておくと、引っかかりにくくなります。
三角形 ― もう1つ作って、さかさに合わせる
2つめの「動き」です。同じ三角形をもう1枚用意して、180度くるりと回して元の三角形に合わせます。すると平行四辺形ができます。
その平行四辺形の面積は、さっきの通り 底辺×高さ。いま合わせたのは同じ三角形2枚ですから、三角形1枚はその半分です。
三角形の面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2。
÷2 の正体は「半分にする公式」ではなく、2枚合わせて1つの四角形にしたから、1枚にもどしているだけです。子どもに「なんで2で割るの?」と聞かれたら、答えを言うかわりに「いま何枚使った?」と聞き返してください。「2枚」と答えられれば、÷2 はもう忘れません。
台形 ― 同じやり方で、底辺が「上底+下底」になる
3つめの「動き」は、三角形とまったく同じです。同じ台形をもう1枚、180度回して横につけます。すると、やはり平行四辺形ができます。
ちがうのは、できた平行四辺形の底辺です。元の台形の上底と下底が一直線にならぶので、底辺は(上底+下底)になります。高さは変わりません。
だから2枚ぶんの面積は (上底+下底)×高さ。台形1枚はその半分で、
台形の面積 =(上底+下底)× 高さ ÷ 2。
÷2 の理由は三角形とまるごと同じ「2枚合わせたから」です。三角形と台形の ÷2 を、同じ1つの理由でまとめられるのが、この教え方のいちばんの収穫です。
ついでに「上底・下底」も片づけておきます。これは上と下の位置の話ではなく、平行な2本の辺のことです。図が横向きに出れば、上底は左にきます。そして式は足し算なので、どちらを上底と呼んでも答えは同じです。ここを言っておくと、向きの変わった問題で手が止まりません。
ひし形 ― まわりに長方形をかくと、ちょうど半分
4つめの「動き」だけは、少し毛色がちがいます。ひし形の2本の対角線に沿って、外がわに長方形をかきます。たてが対角線の1本、よこがもう1本の長方形です。
このとき、ひし形はその長方形のちょうど半分になります(はみ出した4つの三角形が、ひし形の中の4つとぴったり同じ大きさになるからです)。だから、
ひし形の面積 = 対角線 × 対角線 ÷ 2。
ここでも ÷2 は「大きい四角形を作ってから、半分にもどした」跡です。÷2 がつくのは、いちど大きな四角形を作ったとき ― 三角形・台形・ひし形はぜんぶこれです。長方形と平行四辺形は直しただけで大きくしていないから ÷2 がつかない。ここまで並べれば、4本の式は1つの見分け方になります。
- ÷2 がつかない:長方形・正方形・平行四辺形 = 切って動かしただけ
- ÷2 がつく:三角形・台形・ひし形 = 2枚ぶん(倍の大きさ)にしてから、もどした
全部をこわす一点 ― 「高さ」は、底辺に垂直な線
ここまでの4本が言えるのに点が取れない子は、ほぼ高さの取りちがえです。図がかたむいたとたん、子どもはとなりの辺を高さとして使います。
高さは辺ではありません。底辺に直角にぶつかる線の長さです。だから手順を、次の順番に固定します。
- 1. まず底辺を1本決める(どの辺を選んでもかまいません)
- 2. その底辺に直角な線をさがす(三角定規のかどを当てると確実です)
- 3. その2つだけを掛ける(残りの数字は使いません)
「どの辺を底辺にしてもいい」ことは、ぜひ一度たしかめさせてください。三角形で底辺を変えると高さも変わりますが、掛け算の答えは必ず同じになります。これを見ると、底辺と高さが必ずペアで動くことが腑に落ちます。
もう1つ、高学年で必ず出るのが高さが図の外に出る三角形です。大きく開いた角をもつ三角形では、底辺をまっすぐ延長した先に、点線で高さがかいてあります。これは「図がおかしい」のではなく正しい高さです。「底辺は、のばしてよい」と知っているかどうかだけの差なので、家で1回見せておけば十分です。
つまずきやすい4つのポイント
- 1. ななめの辺を高さに使う:平行四辺形・三角形でいちばん多い誤答です。図に数字が3つあれば1つは使わない数字。底辺を決め、直角にぶつかる線だけを高さにします。
- 2. ÷2 のつけ忘れ・つけすぎ:暗記ではなく「いま何枚合わせた?」で判断します。2枚合わせて四角形にしたなら ÷2、切って動かしただけなら ÷2 なし。
- 3. 単位が cm のまま:長さが cm なら面積はcm²です。そして1m²=10000cm²(100cm×100cm なので、100倍ではなく10000倍)。長さが100倍なら面積は10000倍という、この「2回かかる」感覚が単位換算の山場です。ほかに 1a=100m²、1ha=10000m²=100a、1km²=1000000m²。
- 4. 面積とまわりの長さの混同:「広さ(中身)」と「へりの長さ(外まわり)」。まわりの長さを聞かれているのに面積を出す取りちがえは、高学年でも起きます。問題文の「まわりの長さ」だけ先に丸で囲ませると減ります。
家でできる確かめ方 ― 紙とはさみで10分
必要なのは方眼紙(なければコピー用紙)とはさみ、それに定規だけです。公式を言わせる時間はゼロで、切って動かすところだけをやります。
- 平行四辺形を1つ切り出す:方眼紙に平行四辺形をかいて切りとる。高さのところで1回だけ切って、出てきた三角形を反対がわへ移す。「長方形になった」と口に出させます。
- 三角形を2枚作る:同じ三角形を2枚切り出し、1枚を180度回して合わせる。「何ができた?」→「平行四辺形」。「何枚使った?」→「2枚」。この2問だけで ÷2 が入ります。
- 台形も2枚:同じ台形を2枚切り出して回して合わせる。底辺のところに定規を当てて「上底と下底が1本につながった」ことを指で追わせます。
- 底辺を変えてみる:さっきの三角形で、底辺をちがう辺にして高さを測り直し、もう一度計算。答えが同じになることを自分で確かめさせます。
- 1m²を床に作る:新聞紙を並べて1辺1mの正方形を作り、その中に1cm²がいくつ入るかを考えさせる。「100こ?」と言ったら、たてに100・よこに100で10000こ。単位換算の山は、ここで越えられます。
声かけは「公式は?」ではなく、「どう直したら長方形になる?」の一本にします。公式を聞くと思い出し競争になりますが、直し方を聞くと、子どもは手を動かして自分で式にたどり着きます。
よくある質問
Q. 公式を丸暗記させてはいけませんか?
A. 暗記そのものは悪くありません。速く解くには、結局おぼえている必要があります。問題は暗記しかない状態で、そうなると忘れた瞬間に0点になり、÷2 の有無も確かめようがありません。作り方を1回だけ手で通してから暗記するのが近道です。作り方を知っていれば、テスト中に忘れても2分で復元できます。
Q. 高さが図の外に出ている三角形が解けません。
A. 「底辺はのばしてよい」と知らないだけ、ということが多いです。底辺をまっすぐ延長した線に、外から直角に下ろした点線が高さです。図をなぞって、直角の印を自分で書き入れさせると一度で通ります。公式のほうは何も変わりません。
Q. 面積と、まわりの長さをいつも取りちがえます。
A. 言葉の意味が体に入っていないサインです。面積=中をぬりつぶす/まわりの長さ=へりを指でなぞると、2つの動作に結びつけてください。問題文を読むときに「広さ」か「まわり」かを先に丸で囲む習慣をつけると、式を立てる前にまちがいが止まります。
Q. 小6の円の面積にもつながりますか?
A. まっすぐつながります。円の面積(半径×半径×3.14)も、教科書では円を細かく切って交互に並べかえ、長方形に近づけるという同じ手口で出してきます。「長方形に直す」という見方をここで作っておくと、小6でもう一度ゼロから覚え直す必要がなくなります。
まとめ
面積の公式が覚えられないのは、4つを別々のこととして持っているからです。本体は長方形の「たて×よこ」1本だけで、残りは長方形に直すための動きにすぎません。平行四辺形ははしを切って移す(だから÷2なし)、三角形と台形は同じものを2枚合わせて平行四辺形にする(だから÷2)、ひし形はまわりに長方形をかく(だから÷2)。÷2 の有無は「いま何枚合わせたか」だけで決まります。そして最後に全部をこわすのが高さで、高さは辺ではなく、底辺に直角な線 ― ななめの辺は使いません。方眼紙とはさみ10分で、このうち3つはその場で目に見えます。
この記事がお役に立ったら
同じところでつまずいているお子さんのご家庭に、そのまま渡せます。
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